生物多様性チーム江東 設立趣意書
生物多様性とは、生きものの「個性」と「つながり」のことをいう。
地球上の生きものは、ざまざまな環境に適応して進化し、3,000万種とも言われる多様な生きものが生まれた。
そして、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性の3つのレベルからなる生物多様性のたくさんの恵みによって、私たち人間を含む生きものの「いのち」と「暮らし」が支えられている。
しかし、こうした恵みを私たちにもたらしている生物多様性であるが、地球上の種の絶滅のスピードは、化石記録からの推定値の1,000倍(40,000種/年)にも達し、たくさんの生きものたちが危機に瀕している。
日本では、開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息域の減少、里地里山などの手入れ不足による自然の質の低下、外来種などの持ち込みによる生態系の攪乱(かくらん)の3つの危機がある。
さらに大きな問題として、地球温暖化があり、国境を越えた大きな課題となっていて、多くの種の絶滅や生態系の崩壊が加速する危険が迫っている。
上記の3つの危機と地球温暖化による危機を受けて、日本の野生動植物の約3割が絶滅の危機に瀕している(絶滅危惧種:3,155種)。
このように「いのち」と「暮らし」を支える生物多様性を私たちは自らの手で危機的な状況に陥らせており、将来の世代が同じ恩恵を受けることができない危機的状況にある。すべてのかけがえのないいのちを守り、その恵みを受け続けられるように、今行動することが必要である。
生物多様性は人類の生存を支え、人類にさまざまな恵みをもたらすものである。生物に国境はないので、日本だけで生物多様性を保存しても十分ではなく、世界全体でこの問題に取り組むことが重要である。このため、1992年5月に「生物多様性条約」がつくられた。
この条約には、先進国の資金により開発途上国の取り組みを支援する資金援助の仕組みと、先進国の技術を開発国に提供する技術協力の仕組みがあり、経済的・技術的な理由から生物多様性の保全と持続可能な利用のための取り組みが十分でない開発途上国に対する支援が行われることになっている。また、生物多様性に関する情報交換や調査研究を各国が協力して行うことになっている。
生物多様性条約は、気候変動枠組条約と並び、1992年に行われたリオサミットにおいて示された環境分野での国際条約の中で重要な2つの条約の1つである。そのため、条約締約国は、およそ27年に1回の割合で、締約国会議(COP)を開催しており、第10回目の会議(COP10)が今秋、名古屋市で開催される。
しかしながら、生物多様性条約は、気候変動枠組条約に比べて認知度が低く、さらに事態の深刻さについては、温暖化とともに危機的な状態にある。これらの事態を解決していくためには、我々の足元からの活動が重要であり、ことに地方自治体の役割は大きい。
COP10が行われるにあたり、「生物多様性交流フェア」が同時開催され、生物多様性に関わる企業、団体、市民団体が日頃からの取り組みについて発表する機会が設けられている。
そこで、江東区がこれに参加し、市民団体と行政が協働してチームを組み、これまでに行ってきた事業や活動を中心にして世界に発信するものである。
・参加目的
1)江東区の大都市の取り組みとしての世界への発信
2)世界との交流による最新事情の収集
3)市民団体と行政との協働による出店を通じた、今後の両者の連携の強化
4)これらの成果を持ち帰ることによる区民への啓発や今後の区政への応用
なお、発起人と賛同者を主体として、実行委員会を立ち上げ、実施に向けて活動を始めたいと考える。
2010年6月18日
発起人
個人:阿河眞人、阿部美和、阿部次子、井上守、清田秀雄、柴智之、諏訪正晃、高橋芳栄、中瀬勝義、中川雅允、仁平剛男、野田悦子、藤井達生、松本博光、美濃又哲男、村田千尋、森田克己
団体:NPO法人ネイチャーリーダー江東
後援:江東区
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